VBAのOutlook.Applicationオブジェクトを使うと、Microsoft Outlookの多彩な機能をプログラムから操作・自動化できます。ここでは、具体的にどんなことができるのかを詳細に解説します。
Outlook.Applicationでできること
1. メールの操作
新規メールの作成・送信
- 受信者(To, Cc, Bcc)の指定
- 件名・本文の設定（プレーンテキスト／HTML）
- 添付ファイルの追加
- 送信または画面表示（送信前の確認）
- 返信・転送メールの作成
例：添付ファイル付きメール送信
Dim olApp As Object, olMail As Object
Set olApp = CreateObject("Outlook.Application")
Set olMail = olApp.CreateItem(0)
With olMail
.To = "user@example.com"
.Subject = "レポート送付"
.Body = "レポートを送付します。"
.Attachments.Add "C:\report.pdf"
.Send
End With
受信メールの取得・操作
- 受信トレイや任意フォルダ内のメールを読み込み
- 件名や送信者、受信日時などのプロパティ取得
- 条件に合ったメールの検索やフィルター
- メールの削除や移動、既読・未読設定の変更
2. 予定表（カレンダー）の操作
予定の作成・変更・削除
- 新しい予定アイテムの作成（開始日時、終了日時、場所、説明など設定可能）
- 繰り返し予定やアラームの設定
- 既存予定の取得・更新
- 予定の削除
例：会議予定の追加
Dim olApp As Object, olAppt As Object
Set olApp = CreateObject("Outlook.Application")
Set olAppt = olApp.CreateItem(1) ' 1 = AppointmentItem
With olAppt
.Subject = "プロジェクト会議"
.Start = Now + 2
.Duration = 90
.Location = "会議室B"
.ReminderSet = True
.ReminderMinutesBeforeStart = 15
.Save
End With
3. 連絡先（アドレス帳）の操作
- 連絡先アイテムの作成・編集
- 名前、メールアドレス、電話番号、会社名などの情報操作
- 連絡先フォルダの読み込み・検索
4. タスク管理
- タスクアイテムの作成・編集
- 締め切り日、優先度、進捗状況の設定
- タスクの完了チェックや削除
5. フォルダや名前空間の操作
- Outlookのフォルダ階層の参照
- 受信トレイ、送信済みアイテム、下書き、カレンダーなどの標準フォルダの取得
- 独自に作成したフォルダの取得や作成
6. Outlookのユーザー情報の取得
- 現在ログオンしているユーザーのメールアドレスや名前の取得
- メール送信時の送信者情報の操作
7. メールルールの管理（限定的）
- 一部のメールルールを取得して処理を自動化（ただしVBAでは制限がある）
8. イベントハンドラー（少し高度）
- Outlookのイベント（新着メール受信、予定の変更など）をVBAで捕まえて処理できる
- 例：新しいメールが届いたら自動で処理する
Outlook.Applicationを使う上でのポイント
- オブジェクト階層
Outlook.Application → Namespace (MAPI) → Folder → Items → Item (MailItem, AppointmentItemなど) - アイテムの種類
Outlookの中にはメール（MailItem）、予定（AppointmentItem）、連絡先（ContactItem）など多種多様なアイテムがある - 遅延バインディングと早期バインディング
- 遅延バインディング：
As Objectで宣言しCreateObjectで取得 → 柔軟だがIntelliSenseが使えない - 早期バインディング：Outlookの参照設定をVBAで追加し型宣言 → コーディングが楽、動作高速
- 遅延バインディング：
具体的な活用例まとめ
| 用途 | 操作例 |
|---|---|
| メール送信 | 新規メール作成、宛先・件名設定、添付ファイル追加、送信 |
| メール整理 | 受信トレイのメール読み込み、検索、削除、移動 |
| 予定表管理 | 会議予定作成、繰り返し設定、リマインダー設定 |
| 連絡先管理 | 新規連絡先作成、既存連絡先の情報更新 |
| タスク管理 | タスクの作成、期限・優先度設定、完了チェック |
| フォルダ管理 | フォルダの作成・参照・削除 |
| 自動応答やイベント処理 | 新着メール検知時の自動返信 |
まとめ
Outlook.ApplicationはVBAからOutlookをトータルに操作できる強力なオブジェクトです。
日々のメール送信の自動化、スケジュール管理の効率化、連絡先管理、さらにはイベント連携まで多彩な業務自動化が可能です。
必要な処理に合わせて、適切なアイテム（MailItem、AppointmentItemなど）を作成・操作することで、あなたのOutlook操作を劇的に効率化できます。
