1. Interiorプロパティとは？
Interiorプロパティは、Excelのセルやセル範囲の塗りつぶし（背景）に関する設定を制御するためのプロパティです。Rangeオブジェクトからアクセスでき、色やパターンを指定することで、視認性の高いデータ表現や状態別の強調表示などが可能になります。
2. 基本構文
Range("A1").Interior.プロパティ名 = 値
たとえば、セルA1の背景色を黄色にしたい場合：
Range("A1").Interior.Color = vbYellow
3. 主なプロパティ一覧
| プロパティ名 | 概要 |
|---|---|
.Color | RGBカラー指定（Long型） |
.ColorIndex | カラーパレットインデックスによる色指定 |
.Pattern | 塗りつぶしパターンの種類（例：xlSolid, xlGray50） |
.PatternColor | パターン部分の色（RGB指定） |
.PatternColorIndex | パターン部分の色（インデックス指定） |
.ThemeColor | テーマカラー番号 |
.TintAndShade | 明るさ・暗さの調整（-1 ～ 1） |
4. .Colorプロパティ
最も一般的な色指定方法です。vbRedなどの定数、またはRGB()関数を使って任意の色を指定します。
Range("B2").Interior.Color = RGB(255, 200, 0) ' 橙色
Range("B3").Interior.Color = vbGreen
5. .ColorIndexプロパティ
Excelのカラーパレットから色を指定（0～56など）。ただし現代のExcelでは非推奨気味。
Range("C2").Interior.ColorIndex = 6 ' 黄色
Range("C3").Interior.ColorIndex = xlNone ' 塗りつぶしなし
6. .Patternプロパティ
塗りつぶしのパターンを変更できます。標準は xlSolid（無地）。以下は主なパターン：
| 値 | 説明 |
|---|---|
xlSolid | 単色塗りつぶし |
xlGray25 | 25%グレーパターン |
xlGray50 | 50%グレーパターン |
xlNone | パターンなし |
With Range("D2").Interior
.Pattern = xlGray50
.Color = RGB(255, 255, 0)
.PatternColor = RGB(0, 0, 0)
End With
7. .ThemeColor と .TintAndShade
.ThemeColor
Excelのテーマカラー番号を指定します。通常、会社用のテンプレートで色を統一したい場合に便利です。
Range("E2").Interior.ThemeColor = xlThemeColorAccent2
.TintAndShade
0：元の色（変化なし）-1 ～ 0：暗くする0 ～ 1：明るくする
With Range("E3").Interior
.ThemeColor = xlThemeColorAccent2
.TintAndShade = 0.4 ' 明るく
End With
8. 応用例：条件で色分け
数値に応じた色分け
Dim rng As Range
For Each rng In Range("A1:A10")
If IsNumeric(rng.Value) Then
If rng.Value > 100 Then
rng.Interior.Color = RGB(255, 150, 150) ' 赤系
Else
rng.Interior.Color = RGB(150, 255, 150) ' 緑系
End If
End If
Next
9. 塗りつぶしの削除
塗りつぶしを消したいときは、以下のように設定します：
Range("A1:A10").Interior.ColorIndex = xlNone
または：
Range("A1:A10").Interior.Pattern = xlNone
10. セル範囲への一括設定
複数セルに一括で色をつける場合も同じように操作できます。
Range("B2:D4").Interior.Color = RGB(220, 230, 241)
11. 書式だけクリア（背景色だけ消す）
Range("A1:D10").Interior.Pattern = xlNone
または、フォーマット全体を削除：
Range("A1:D10").ClearFormats
12. 条件付き書式との違い
Interior プロパティは直接色を設定するため、条件付き書式よりも優先されます。ただし、後から条件付き書式を適用すると、そちらが上書きされます。
13. その他の応用例
見出しの強調
With Range("A1:D1").Interior
.Color = RGB(0, 102, 204)
.Pattern = xlSolid
End With
グラデーション風に色を変える（Tint）
Dim i As Integer
For i = 1 To 10
With Cells(i, 1).Interior
.ThemeColor = xlThemeColorAccent1
.TintAndShade = (i - 1) * 0.1
End With
Next
14. エラー処理と安全性
色の設定でエラーが出るケースは少ないですが、パターンが不正だったり、シート保護されている場合はエラーになります。
On Error Resume Next
Range("A1").Interior.Color = RGB(255, 255, 255)
If Err.Number <> 0 Then MsgBox "書式変更に失敗しました"
On Error GoTo 0
15. まとめ
| 機能 | 説明 |
|---|---|
.Color | RGB値で背景色を設定 |
.Pattern | 塗りつぶしパターンの変更 |
.ThemeColor | テーマに基づいた配色指定 |
.TintAndShade | 色の明暗を調整 |
.Remove系 | .Pattern = xlNone で消去可能 |
| 使いどころ | 強調表示、エラー通知、グループ分けの視覚化などに活用可能 |
