Applicationオブジェクト Application.Calculation

Application

Application.Calculation は、VBA（Visual Basic for Applications）で Excel の 再計算の実行方法（計算モード）を制御するための Application オブジェクトのプロパティです。

このプロパティを使用することで、「数式の再計算のタイミング」を以下のように設定・取得できます：

  • 自動で再計算するか
  • 手動で再計算するか
  • データテーブルの計算を除外するか

🔷 基本構文

Application.Calculation = xlCalculationAutomatic

または、現在の状態を確認：

MsgBox Application.Calculation

🔷 設定できる計算モード（定数）

定数名値説明
xlCalculationAutomatic-4105セルが変更されると自動的に再計算（通常）
xlCalculationManual-4135手動で再計算しないと結果が更新されない
xlCalculationSemiautomatic2自動で再計算されるが、データテーブルは除外

🔷 主な用途

用途内容
パフォーマンス改善大量データを扱う処理前に計算を手動にし、終了後に戻す
データ検証後の手動計算意図的に再計算タイミングを制御したいとき
デバッグ・検証自動計算による意図しない再計算を防ぐ

🔷 使用例①：計算モードを切り替えて処理

Sub 手動計算モードで高速処理()
    ' 自動計算を手動に設定
    Application.Calculation = xlCalculationManual

    ' 大量データ処理
    Worksheets("Sheet1").Range("A1:A10000").Formula = "=RAND()"

    ' 必要なときだけ再計算
    Application.Calculate

    ' 元に戻す
    Application.Calculation = xlCalculationAutomatic
End Sub

🔷 使用例②：現在の計算モードを表示

Sub 計算モード確認()
    Select Case Application.Calculation
        Case xlCalculationAutomatic
            MsgBox "現在は自動計算モードです。"
        Case xlCalculationManual
            MsgBox "現在は手動計算モードです。"
        Case xlCalculationSemiautomatic
            MsgBox "現在はセミオート（データテーブル除外）モードです。"
    End Select
End Sub

🔷 手動モードのときの再計算方法

方法内容
Application.Calculateすべての開いているワークブック・シートを再計算
Workbook.Calculate特定のブックのみ再計算
Worksheet.Calculate特定のワークシートのみ再計算
Range.Calculateセル範囲単位での再計算

🔷 セミオートモードの特徴

xlCalculationSemiautomatic は、以下のような用途に向いています：

  • 通常の数式は自動で計算
  • データテーブルの再計算だけを除外したい場合
  • 重いモデルの一部だけ計算を抑制したいとき

🔷 計算モード変更の影響

設定影響
xlCalculationAutomatic入力と同時に即再計算（標準）
xlCalculationManual値を変えても再計算されない。マクロまたはユーザー操作で再計算が必要
xlCalculationSemiautomaticデータテーブル以外は再計算される

🔷 よくある落とし穴と対処法

誤解・落とし穴対処法
マクロ実行後に自動計算に戻さない処理終了時に Application.Calculation = xlCalculationAutomatic を必ず記述する
手動モード時に数式が更新されないApplication.Calculate または Sheet.Calculate を忘れずに呼び出す
セルの再計算を期待しても変化しないモード確認を Debug.Print Application.Calculation で行う

🔷 実用テンプレート：処理前後に自動計算を制御

Sub 処理最適化テンプレート()
    With Application
        .ScreenUpdating = False
        .EnableEvents = False
        .Calculation = xlCalculationManual
    End With

    ' --- ここに処理を書く ---
    Worksheets("Sheet1").Range("A1:A1000").Formula = "=RAND()"

    ' 再計算
    Application.Calculate

    ' 元に戻す
    With Application
        .Calculation = xlCalculationAutomatic
        .EnableEvents = True
        .ScreenUpdating = True
    End With
End Sub

🔷 まとめ

項目内容
プロパティ名Application.Calculation
型XlCalculation 列挙型（整数）
設定値xlCalculationAutomatic, xlCalculationManual, xlCalculationSemiautomatic
目的Excelの再計算方法を制御
よく使う場面パフォーマンス改善、手動再計算制御、セミオート運用
注意点設定後は元に戻すことを忘れずに！

✅ よく使う定数一覧

定数値意味
xlCalculationAutomatic-4105自動再計算
xlCalculationManual-4135手動再計算
xlCalculationSemiautomatic2自動だがデータテーブル除外
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