Applicationメソッド Application.Calculate

Application.Calculateは、Excel VBAにおける Application オブジェクトのメソッドで、すべての開いているワークブック内のワークシートの再計算を強制的に実行するために使用します。

これは、手動計算モードで数式の更新が止まっているときや、即時に最新の結果を得たい場合に使われます。

🔷 基本構文
🔷 用途・目的
🔷 計算対象
🔷 使用例①：全シート再計算
🔷 使用例②：手動計算モードとの併用
🔷 自動計算 vs 手動計算
🔷 パフォーマンスの観点
🔷 関連メソッド・プロパティ
🔷 Application.Calculate と CalculateFull の違い
🔷 まとめ
✅ よく使うテンプレート

🔷 基本構文

Application.Calculate

🔷 用途・目的

Excel全体の数式を再計算したいとき
手動計算モードのとき、マクロで明示的に再計算したいとき
外部リンクや依存関係のある関数があるとき
パフォーマンスのために一時的に自動計算を停止していた場合の再計算

🔷 計算対象

メソッド	計算対象
`Application.Calculate`	開いているすべてのブック・すべてのワークシートの数式
`Workbook.Calculate`	指定したブックの全ワークシート
`Worksheet.Calculate`	指定したシート内の数式
`Range.Calculate`	指定したセル範囲のみ

🔷 使用例①：全シート再計算

Sub 再計算_全体()
    Application.Calculate
End Sub

🔷 使用例②：手動計算モードとの併用

Sub 手動で制御する計算()
    ' 計算モードを手動に設定
    Application.Calculation = xlCalculationManual
    
    ' 何らかのデータ処理
    Range("A1").Formula = "=NOW()"

    ' 明示的に再計算
    Application.Calculate
    
    ' 元に戻す（自動計算）
    Application.Calculation = xlCalculationAutomatic
End Sub

🔷 自動計算 vs 手動計算

計算モード	設定	特徴
自動	`xlCalculationAutomatic`	値が変わるとすぐ再計算される（通常）
手動	`xlCalculationManual`	セルを変更しても自動では計算されない
セル依存	`xlCalculationSemiautomatic`	テーブルやデータモデルは計算されない

手動モード時、再計算を行うには Application.Calculate や Sheet.Calculate を自分で呼ぶ必要があります。

🔷 パフォーマンスの観点

大量データを扱うマクロ処理の中では、次のような処理順でパフォーマンスを向上できます：

Sub 高速処理()
    With Application
        .ScreenUpdating = False
        .EnableEvents = False
        .Calculation = xlCalculationManual
    End With

    ' 大量データ処理
    ' ...
    
    ' 再計算を明示的に行う
    Application.Calculate

    With Application
        .Calculation = xlCalculationAutomatic
        .EnableEvents = True
        .ScreenUpdating = True
    End With
End Sub

🔷 関連メソッド・プロパティ

メソッド / プロパティ	機能
`Application.Calculate`	全ブック全シートの再計算
`Workbook.Calculate`	特定ブックの再計算
`Worksheet.Calculate`	特定シートの再計算
`Range.Calculate`	セル範囲単位での再計算
`Application.CalculateFull`	依存関係をすべて再構築して完全再計算
`Application.Calculation`	計算モード（自動／手動）を設定・取得

🔷 Application.Calculate と CalculateFull の違い

メソッド名	内容
`Application.Calculate`	依存関係に基づいて再計算（通常の再計算）
`Application.CalculateFull`	依存関係をすべて再構築して再計算（重いが完全）
`Application.CalculateFullRebuild`	さらに構造自体も再構築（壊れた参照に対応）

🔷 まとめ

項目	内容
メソッド名	`Application.Calculate`
対象	開いているすべてのブック、すべてのワークシート
用途	手動計算時の再計算、マクロで明示的な再計算を行いたいとき
注意点	重いファイルでは処理時間がかかることがある
よくある用途	パフォーマンスチューニング、再計算のタイミング制御

✅ よく使うテンプレート

Sub 再計算する()
    If Application.Calculation = xlCalculationManual Then
        Application.Calculate
    End If
End Sub