Applicationオブジェクト Application.EnableEvents

Application.EnableEvents は、Excel VBA における Application オブジェクトの イベント（Workbook_Open、Worksheet_Change など）を有効または無効にするプロパティです。マクロ実行中にイベントがトリガーされるのを防ぎたいときに非常に有用です。

🔷 基本構文
🔷 何のために使うのか？
1. ✅ 主な目的は「マクロ中のイベント暴走の防止」
🔷 使用例①：セル変更イベントの再帰防止
🔷 使用例②：マクロ全体で一時的にイベント無効化
🔷 よく使われるイベント例（止める対象）
🔷 注意点・落とし穴
🔷 安全なテンプレート（エラー対応付き）
🔷 他の制御系プロパティとの組み合わせ
🔷 まとめ
✅ よくある使い方（定型パターン）

🔷 基本構文

Application.EnableEvents = False  ' イベントを無効化
Application.EnableEvents = True   ' イベントを再度有効化

🔷 何のために使うのか？

✅ 主な目的は「マクロ中のイベント暴走の防止」

Worksheet_Change などのイベントプロシージャが、マクロの変更によって 意図せず再び発火することを防ぐ
再帰的にイベントが繰り返される事態（無限ループ）を回避
処理速度の最適化：イベントのトリガーを止めることで、余計なイベント処理を減らす

🔷 使用例①：セル変更イベントの再帰防止

Private Sub Worksheet_Change(ByVal Target As Range)
    On Error GoTo 終了処理
    Application.EnableEvents = False  ' ここでイベント停止

    ' イベント中にセルを変更
    If Not Intersect(Target, Range("A1")) Is Nothing Then
        Range("B1").Value = "変更されました"
    End If

終了処理:
    Application.EnableEvents = True   ' 忘れずに再有効化
End Sub

🔷 使用例②：マクロ全体で一時的にイベント無効化

Sub 大量変更処理()
    With Application
        .ScreenUpdating = False
        .EnableEvents = False
        .Calculation = xlCalculationManual
    End With

    ' イベント発火を気にせずセル変更
    Range("A1:A1000").Value = "処理中"

    ' 各種設定を戻す
    With Application
        .EnableEvents = True
        .ScreenUpdating = True
        .Calculation = xlCalculationAutomatic
    End With
End Sub

🔷 よく使われるイベント例（止める対象）

イベントプロシージャ	説明
`Workbook_Open`	ブックを開いた時
`Workbook_SheetChange`	シートが変更されたとき
`Worksheet_Change`	セルの値が変更されたとき
`Workbook_BeforeClose`	ブックを閉じる前

🔷 注意点・落とし穴

項目	内容
`False` にしたまま終了するとイベントが動作しなくなる	マクロ終了前に必ず `True` に戻す
エラーで途中終了しても元に戻らないことがある	`On Error` で必ず `EnableEvents = True` を保証すること
グローバル設定	`Application.EnableEvents` はすべてのブック・シートに影響する

🔷 安全なテンプレート（エラー対応付き）

Sub 安全なイベント制御マクロ()
    On Error GoTo エラー処理

    Application.EnableEvents = False

    ' ここに処理を書く
    Range("A1").Value = "イベント無効中に書き込み"

正常終了:
    Application.EnableEvents = True
    Exit Sub

エラー処理:
    MsgBox "エラー発生: " & Err.Description
    Resume 正常終了
End Sub

🔷 他の制御系プロパティとの組み合わせ

プロパティ	目的
`Application.ScreenUpdating = False`	画面更新を停止（高速化）
`Application.Calculation = xlCalculationManual`	再計算を手動化（高速化）
`Application.EnableEvents = False`	イベント発火を停止（暴走防止）

これらをまとめて制御すると、高速で安全な処理が実現できます。

🔷 まとめ

項目	内容
プロパティ名	`Application.EnableEvents`
型	Boolean（True / False）
既定値	`True`（イベントは通常有効）
目的	マクロ実行中のイベント発火を一時停止
使用例	`Application.EnableEvents = False`
注意点	マクロ終了前に必ず `True` に戻すこと

✅ よくある使い方（定型パターン）

Sub マクロ処理()
    With Application
        .EnableEvents = False
        .ScreenUpdating = False
        .Calculation = xlCalculationManual
    End With

    ' 重たい処理

    With Application
        .EnableEvents = True
        .ScreenUpdating = True
        .Calculation = xlCalculationAutomatic
    End With
End Sub