Range.Font / Interior

Range

1. はじめに

Excel VBAでは、セルの見た目を自在に操作することが可能です。その中でも代表的なのが：

  • Font：セルのフォント（文字の書式・スタイル）
  • Interior：セルの塗りつぶし（背景色）

これらはRangeオブジェクトのプロパティとして扱われ、それぞれサブオブジェクトとしてさらに詳細な属性を持ちます。

2. Range.Fontプロパティの概要

2-1. 役割

Fontプロパティは、セル範囲の文字の書式を管理するオブジェクトです。
以下のような情報を設定できます：

  • フォント名（Arial, メイリオ など）
  • フォントサイズ
  • 太字・斜体・下線
  • 文字色
  • 文字飾り（取り消し線、小型大文字 など）

2-2. 主なプロパティ一覧

プロパティ名説明例
Nameフォント名"Arial"
Sizeフォントサイズ（ポイント）12
Bold太字（True/False）True
Italic斜体（True/False）False
Underline下線（xlUnderlineStyle）xlUnderlineStyleSingle
Color / ColorIndex文字の色（RGBまたはインデックス）RGB(255,0,0)（赤）
Strikethrough取り消し線（True/False）True
Subscript下付き文字（True/False）False
Superscript上付き文字（True/False）False

2-3. 使用例

Sub フォント書式設定()
    With Range("A1")
        .Value = "Hello VBA"
        With .Font
            .Name = "メイリオ"
            .Size = 14
            .Bold = True
            .Italic = True
            .Underline = xlUnderlineStyleSingle
            .Color = RGB(0, 0, 255) ' 青
        End With
    End With
End Sub
  • .FontはRangeオブジェクトのサブオブジェクトなので、さらにその中のプロパティにドット記法でアクセスします。

3. Range.Interiorプロパティの概要

3-1. 役割

Interiorプロパティは、セルの**塗りつぶし（背景）**を制御するオブジェクトです。
これにより、セルの背景色やパターンの種類・色を指定できます。

3-2. 主なプロパティ一覧

プロパティ名説明例
Color塗りつぶし色（RGB値）RGB(255,255,0)（黄色）
ColorIndexカラーパレット番号（1～56）6（黄色）
Pattern塗りつぶしパターンの種類xlSolid（単色）
PatternColorパターンの前景色RGB(255,0,0)（赤）
PatternColorIndexパターンの前景色インデックス3

3-3. 使用例

Sub セル背景色設定()
    With Range("B2")
        .Value = "背景色設定済み"
        With .Interior
            .Color = RGB(255, 255, 153)  ' 薄い黄色
            .Pattern = xlSolid
        End With
    End With
End Sub

4. FontとInteriorの組み合わせ例

Sub 見出しスタイル適用()
    With Range("A1:D1")
        .Merge
        .Value = "売上報告"
        
        With .Font
            .Name = "Calibri"
            .Size = 16
            .Bold = True
            .Color = RGB(255, 255, 255) ' 白
        End With
        
        With .Interior
            .Color = RGB(0, 102, 204) ' 濃い青
            .Pattern = xlSolid
        End With
        
        .HorizontalAlignment = xlCenter
    End With
End Sub

このように、FontとInteriorを組み合わせて設定することで、表の見た目を整えたり、視認性を向上させたりできます。

5. Font.ColorとInterior.Colorの違い

要素プロパティ名使用用途
文字色Font.Color文字そのものの色
背景色Interior.Colorセルの背景色

いずれもRGB関数またはカラーインデックスを使って色を指定します。

6. 色の指定方法

RGB関数による指定（推奨）

Range("A1").Font.Color = RGB(255, 0, 0)      ' 赤
Range("A1").Interior.Color = RGB(255, 255, 0) ' 黄色

ColorIndexによる指定（互換性重視）

Range("A1").Font.ColorIndex = 3      ' 赤
Range("A1").Interior.ColorIndex = 6  ' 黄色
  • ColorIndexは古い互換用で、Excelのパレットカラーに依存します。
  • ColorはRGBで16,777,216色の指定が可能です。

7. 条件付きでの書式変更例

Sub 点数評価色分け()
    Dim rng As Range
    Set rng = Range("C2:C10")
    
    Dim cell As Range
    For Each cell In rng
        If IsNumeric(cell.Value) Then
            If cell.Value >= 80 Then
                cell.Font.Color = RGB(0, 128, 0) ' 緑
            ElseIf cell.Value >= 60 Then
                cell.Font.Color = RGB(255, 165, 0) ' オレンジ
            Else
                cell.Font.Color = RGB(255, 0, 0) ' 赤
            End If
        End If
    Next
End Sub

8. ClearFormatsによる書式クリア

FontやInteriorで設定した書式を削除したい場合、以下のようにします：

Range("A1:D10").ClearFormats

または個別にプロパティをリセット：

With Range("A1")
    .Font.ColorIndex = xlColorIndexAutomatic
    .Interior.ColorIndex = xlColorIndexNone
End With

9. 注意点

  • FontやInteriorはセルの表示にのみ影響し、数値や計算結果には直接関係しません。
  • Merge（セル結合）した範囲への書式設定は、結合セル全体に対して行う必要があります。
  • FontやInteriorは読み取り・書き込みともに可能なオブジェクトです。

10. まとめ

項目FontInterior
役割文字の見た目の設定セルの背景（塗りつぶし）設定
主な設定項目フォント名、サイズ、色、太字、斜体など背景色、パターン、パターン色
色の指定方法Color, ColorIndexColor, ColorIndex
応用条件による色変更、見出し強調、報告書装飾など
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