Clear / ClearContents / ClearFormats オブジェクトRange メソッド(動作)

Excel VBAにおいて、セルの内容や書式を削除（クリア）する操作は、非常によく使われる機能のひとつです。ユーザーが入力した値を消したり、見た目を初期化したり、テンプレートとしての再利用を目的とする場合など、さまざまなシーンで登場します。

この目的のために用意されているのが、Range オブジェクトに属する以下の3つのクリア系メソッドです。

それぞれの違いを理解することで、状況に応じた適切な使い分けができるようになります。

基本構文

Range("A1").Clear
Range("A1").ClearContents
Range("A1").ClearFormats

Clear メソッドは、対象のセル範囲からすべての情報を削除します。これには以下が含まれます。

Range("A1:C3").Clear

このコードを実行すると、「A1～C3」のすべてのセルが完全に初期状態に戻されます。

ClearContents は、セルの中の値または数式だけを削除します。セルの外見（フォント、色、罫線などの書式）は残ります。

Range("B2:D4").ClearContents

このコードは「B2:D4」のセルの内容のみをクリアします。背景色やフォント設定はそのまま残ります。

項目	内容
値の削除	○
書式の削除	×
コメントの削除	×
使用場面	ユーザーが入力したデータの消去、テンプレート化の準備など

ClearFormats は、セルの書式のみを削除します。値、数式、コメントはそのまま残ります。

削除される書式の例：

Range("A1:A10").ClearFormats

このコードは「A1:A10」のセルの書式設定だけを初期化します。値はそのまま残ります。

コード例	結果
`Range("A1").Clear`	値も書式もコメントも全削除
`Range("A1").ClearContents`	値や数式のみ削除、見た目はそのまま
`Range("A1").ClearFormats`	書式だけ削除、値はそのまま表示
`Range("A1:C3").Clear`	3×3の範囲のすべてをクリア
`Selection.ClearContents`	選択中のセルの内容のみ削除
`Range("B2").Value = ""`	値を削除（書式は残る、`ClearContents`と同じ）

If WorksheetFunction.CountA(Range("B2:D5")) > 0 Then
    Range("B2:D5").ClearContents
End If

With Range("A1:A10")
    .ClearFormats
    .Font.Name = "Calibri"
    .Font.Size = 11
End With

操作	内容
`Range("A1").Clear`	A1セルの中身を削除、セルは残る
`Range("A1").Delete`	A1セルを削除し、下のセルを上に移動