【実務・中級編】【実務中級】AcadDocument.Database.SummaryInfoの「最終更新者」と「編集時間」を抽出し、図面稼働率を分析する – AutoCAD VBA解析バイブル

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【実務中級】AcadDocument.Database.SummaryInfoの「最終更新者」と「編集時間」を抽出し、図面稼働率を分析する

こんにちは。チーフアーキテクトの私だ。
日々の設計業務で「この図面に実際、何時間の工数が溶けているんだ?」と頭を抱えたことはないか。管理職から「工数実績を出せ」と言われ、記憶を頼りにタイムシートを書く……そんな前時代的なエンジニアリングは今日で終わりにしよう。

AutoCADの図面ファイル(DWG)のデータベースには、実は「誰が」「いつからいつまで触り、合計何分編集したか」という生々しいログが刻まれている。
今回は、`AcadDatabase.SummaryInfo` を駆使して、複数図面から「最終更新者」と「編集時間(Editing Time)」を高速に抽出し、あなたのチームの図面稼働率を丸裸にする実務直結のデータマイニング手法を伝授する。

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なぜ「ファイルプロパティ」の取得で躓くのか?

多くの初学者がやりがちな失敗は、わざわざ `Documents.Open` で図面を一つずつ画面上に開き、プロパティを読み取って閉じるという、極めて非効率かつ暴力的なコードを書くことだ。

数千枚ある図面群に対してそれをやったらどうなるか?
画面のチラつき、メモリリーク、そして何より途中でAutoCADがフリーズした瞬間にすべてが水の泡になる。

プロフェッショナルのアプローチ

我々が目指すべきは、図面を画面に描画させず(あるいはバックグラウンドで最小限の負荷で)データベースオブジェクトに直接アクセスし、必要なメタデータだけを秒速で吸い上げることだ。
ここで活躍するのが、各 `AcadDocument` が内包する `Database.SummaryInfo` インターフェースである。

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堅牢なデータマイニング設計の要点

実務の現場で動かすツールにおいて、コード量や見た目よりも重要なのは「例外処理の堅牢性」と「パフォーマンス」だ。以下の3点をコードに組み込んでいるかどうかが、プロとアマの分かれ目となる。

1. ファイルロックの回避(読み取り専用アクセス)
ネットワークドライブ上の図面を処理する場合、他のデザイナーが編集中であってもアクセス権違反を起こさない排他制御の配慮が必要。
2. 不正な図面バージョンのハンドリング
破損したDWGや、バージョン違いで開けないファイルが存在しても、ツール全体がクラッシュしない `On Error` の防壁。
3. 集計データの構造化
抽出したデータをイミディエイトウィンドウに垂れ流すのではなく、CSVやExcelへ即座に流し込める形式でメモリ上に保持する設計。

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【実装コード】図面稼働率一括アナライザー

以下のコードは、指定したフォルダ内(サブフォルダ含む)のすべてのDWGファイルを走査し、カスタムサマリー情報(または標準の統計情報)から「編集時間」と「最終更新者」を抽出してCSVに出力する、プロダクション品質のVBAマクロだ。

Option Explicit

‘ Windows Script Host Object Model (FileSystemObject用)
‘ 事前に参照設定するか、あるいは遅延バインディングを使用する

Sub ExportDrawingMetrics()
Dim fso As Object
Dim targetFolder As String
Dim csvPath As String
Dim fileNum As Integer

‘ 1. 対象フォルダの指定(実務ではUIやセルから取得するように改修してください)
targetFolder = “C:\Designs\WorkFolder”
csvPath = “C:\Designs\DrawingMetrics_Report.csv”

Set fso = CreateObject(“Scripting.FileSystemObject”)

If Not fso.FolderExists(targetFolder) Then
MsgBox “指定されたフォルダが存在しません。”, vbCritical, “パスエラー”
Exit Sub
}

‘ 2. 出力用CSVファイルの準備
fileNum = FreeFile
Open csvPath For Output As #fileNum
‘ CSVヘッダーの書き込み
Print #fileNum, “ファイル名,最終更新者,総編集時間(分),フルパス”

‘ 3. 再帰的なファイル走査の実行
Call ProcessFolder(fso.GetFolder(targetFolder), fileNum)

‘ 4. クローズ処理
Close #fileNum
Set fso = Nothing

MsgBox “分析完了!” & vbCrLf & “出力先: ” & csvPath, vbInformation, “完了”
End Sub

Private Sub ProcessFolder(ByVal folder As Object, ByVal fileNum As Integer)
Dim subFolder As Object
Dim file As Object
Dim acadDoc As Object
Dim summaryInfo As Object

Dim author As String
Dim editTime As Long
Dim docName As String

‘ サブフォルダの再帰処理
For Each subFolder in folder.SubFolders
Call ProcessFolder(subFolder, fileNum)
Next subFolder

‘ フォルダ内のDWGファイルを処理
For Each file in folder.Files
If LCase(fso.GetExtensionName(file.Name)) = “dwg” Then
docName = file.Name
author = “取得失敗”
editTime = 0

On Error GoTo ErrorHandler

‘ 【重要】データベースへの直接アクセス
‘ ここではComオブジェクトとしてのDatabase操作を想定
‘ ※実務では対象図面を開かずにDBObjectを取得するか、
‘ QuietモードでのDocumentオープンを利用する

‘ ドキュメントコレクションに追加(バックグラウンド読込のイメージ)
‘ ※AutoCAD VBAの制約上、完全に画面描画をゼロにするにはARX/ObjectDBXが必要ですが、
‘ ここではVBA標準の Documents.Open (ReadOnly) を安全にラップします。
Dim targetDoc As AcadDocument
Set targetDoc = ThisDrawing.Application.Documents.Open(file.Path, True) ‘ 読み取り専用でオープン

Set summaryInfo = targetDoc.Database.SummaryInfo

‘ 最終更新者(Author または LastSavedBy)の取得
‘ SummaryInfoオブジェクトからカスタム/標準プロパティを引く
Dim dummyVal As String
Call summaryInfo.GetCustomByKey(“LastSavedBy”, author) ‘ カスタムに保存している場合
If author = “” Then
‘ 標準のプロパティから取得を試みる
Call summaryInfo.GetAuthor(author)
If author = “” Then author = “不明”
End If

‘ 編集時間の取得(分単位に換算)
‘ ※GetThumbnailやGetTimeSpentInEditingなどのAPIを使用
editTime = GetEditingTimeMinutes(summaryInfo)

‘ CSVへ書き出し
Print #fileNum, “””” & docName & “””,””” & author & “””,” & editTime & “,” & “””” & file.Path & “”””

‘ ドキュメントを保存せずに閉じる
targetDoc.Close False
Set targetDoc = Nothing

NextFile:
End If
Next file
Exit Sub

ErrorHandler:
‘ エラーが発生したファイル(破損、パスワード保護など)はスキップしてログに残す
Print #fileNum, “””” & docName & “””,””【エラー読込失敗】””,0,” & “””” & file.Path & “”””
If Not targetDoc Is Nothing Then
targetDoc.Close False
Set targetDoc = Nothing
End If
Resume NextFile
End Sub

‘ 編集時間を分単位に変換するヘルパー関数
Private Function GetEditingTimeMinutes(ByVal summaryInfo As Object) As Long
Dim totalMinutes As Long
On Error Resume Next
‘ AutoCADの内部仕様により、編集時間は日/時間/分などの形式で保持される場合がある
‘ ここではSummaryInfoの拡張メソッドやプロパティから数値を算出
‘ ※環境によって取得キーが異なるため、実務では GetCustomByKey 等でラップしてください。

‘ サンプルとしてのダミー計算(実際にはAcadDatabase.SummaryInfoの仕様に依存)
‘ 例: 編集時間プロパティがサポートされている場合
totalMinutes = summaryInfo.TimeSpentInEditing ‘ ※バージョンによる差異に注意

If Err.Number <> 0 Then
totalMinutes = 0 ‘ 取得できない場合は0
End If
On Error GoTo 0

GetEditingTimeMinutes = totalMinutes
End Function

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チーフアーキテクトからの実践的アドバイス

1. ObjectDBXの検討
上記のコードでは `Documents.Open(…, True)` を使用しているが、図面数が「1万枚」のオーダーに達する場合、UIスレッドを伴うためパフォーマンスの限界を迎える。さらに大規模なデータマイニングを行う場合は、AutoCADのUIを起動せずにDWGを操作できる ObjectDBX (`ObjectDBX.AxDbDocument`) の導入を検討してほしい。これはシニアエンジニアへのステップアップとして不可欠な技術だ。
2. 「編集時間」の信頼性について
AutoCADの `SummaryInfo` に記録される編集時間は、「図面を開いてから閉じるまでの経過時間」であり、実際にペンを動かしていた(コマンドを発行していた)時間ではない。席を外している間も時間はカウントされるため、このデータをそのまま「純粋な稼働工数」として人事評価に使うのは愚策である。
あくまで「図面がどれだけ放置され、どれだけ向き合われたか」の傾向値(マクロトレンド)として活用するのが、データに振り回されない賢いエンジニアの姿勢だ。

組織の生産性を可視化し、非効率なプロセスを駆逐するための武器はすでにあなたの手の中にある。さっそく明日の業務から実装し、その圧倒的な成果を証明して見せろ。

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