【実務・中級編】SQL Serverからリソース情報を取得しProjectの「リソースシート」を同期する連携ツール – Project VBA解析バイブル

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SQL Serverの「正」データをMicrosoft Projectへ完全調停(同期)する:VBAによるリソースマスタ自動同期の極意

開発プロジェクトの現場において、リソース管理の破綻はプロジェクトの死を意味する。
Active Directoryや人事労務システム、あるいは基幹側のSQL Serverで一元管理されているはずのリソース情報(名前、標準単価、最大割当ユニット数など)が、Microsoft Projectの「リソースシート」上で手動入力・放置されている光景を、私は幾度となく目撃してきた。

「誰がいくらの単価で登録されているか」「今週何時間稼働できるのか」――このデータが乖離した瞬間、アーearned値管理(EVM)もコスト見積もりも全てゴミと化す。

今回は、SQL ServerからADODB経由で最新のリソース情報を抽出し、MS Projectのリソースシートへ完全同期(Upsert:既存は更新、新規は追加)するプロダクションコードを授与する。
単なる「動くコード」ではない。Project VBA特有のオブジェクトモデルの罠と、パフォーマンスを極限まで高めた堅牢な設計思想を叩き込む。

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1. Projectリソース同期における3つの技術的罠

素人が書いたVBAコードは、決まって次の3つの壁に阻まれて爆発する。

1. 暗黙のオブジェクト生成によるメモリリーク
`ActiveProject.Resources.Add` を安易にループ内で叩くと、Projectの内部キャッシュとCOMポインタの解放が追いつかず、肥大化したメモリがクラッシュを引き起こす。
2. GUID/IDのミスマッチ
SQL Serverの主キー(EmployeeIDなど)をProject側でどう保持するか。標準の `UniqueID` や `ID` に頼ると、リソースの並び替えや削除で一発レッドカードになる。
3. トランザクションとエラーハンドリングの欠落
途中でDB接続が切れたり、データ型が不整合を起こした際、中途半端に書き換わったリソースシートが残り、リカバリー不能に陥る。

これらを完全にクリアする設計が、今回提示する「バッチ同期アーキテクチャ」である。

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2. データベース設計とデータマッピングの前提

SQL Server側には、次のようなリソースマスタ(例: `View_ProjectResources`)が存在していると仮定する。

| カラム名 | データ型 | 説明 | Project対応プロパティ |
| :— | :— | :— | :— |
| `ResourceCode` | VARCHAR(50) | 外部キー(一意) | `Text1`(カスタムフィールドに格納) |
| `ResourceName` | NVARCHAR(100) | リソース名 | `Name` |
| `StandardRate` | DECIMAL(18,2) | 標準単価(時間給) | `StandardRate` |
| `MaxUnits` | DECIMAL(5,2) | 最大割当可能率(例: 1.0 = 100%) | `MaxUnits` |

※MS Projectでは、外部システムとの紐付けキーとして標準で用意されているカスタムテキストフィールド(今回は `Text1`)を「リソースコード」の格納庫として利用するのがプロの定石である。

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3. 完全同期(Upsert)を実現するプロダクションコード

以下のコードは、エラーハンドリング、トランザクションの概念、そしてオブジェクトの明示的な解放を網羅した、現場でそのまま使えるモジュールである。

Option Explicit

‘================================================================================
次元を超えたリソース同期エンジン (SQL Server -> MS Project)
Architect: Chief Automation Engineer
================================================================================
Public Sub SyncResourcesFromSQLServer()
‘ 接続文字列(環境に合わせて変更してください)
Const CONN_STRING As String = “Provider=SQLOLEDB;Server=your_server;Database=your_db;Uid=your_user;Pwd=your_password;”

Dim conn As Object
Dim rs As Object
Dim sql As String

‘ 実行時間計測・ログ用
Dim startTime As Double
startTime = Timer

On Error GoTo ErrorHandler

‘ 1. ADODB接続の確立
Set conn = CreateObject(“ADODB.Connection”)
conn.CommandTimeout = 30
conn.Open CONN_STRING

‘ 2. 最新リソース情報の取得クエリ
sql = “SELECT ResourceCode, ResourceName, StandardRate, MaxUnits FROM View_ProjectResources WHERE IsActive = 1”
Set rs = CreateObject(“ADODB.Recordset”)
rs.Open sql, conn, 0, 1 ‘ adOpenForwardOnly, adLockReadOnly

If rs.EOF Then
MsgBox “同期対象のリソースデータがSQL Serverから取得できませんでした。”, vbExclamation, “同期中断”
GoTo CleanUp
End If

‘ 3. Project側のリソースコレクションを事前走査し、高速ルックアップ用のハッシュ的アプローチの準備
‘ Project VBAにはDictionaryがないため、Text1(リソースコード)をキーにした検索を行う
Dim projResource As Resource
Dim dbCode As String
Dim dbName As String
Dim dbRate As Currency
Dim dbMaxUnits As Double

Dim updateCount As Long
Dim insertCount As Long

updateCount = 0
insertCount = 0

‘ 画面描画を停止してパフォーマンスを極限まで引き上げる
App.ScreenUpdating False

‘ 4. レコードセットをループしてUpsert処理
Do While Not rs.EOF
dbCode = Nz(rs.Fields(“ResourceCode”).Value, “”)
dbName = Nz(rs.Fields(“ResourceName”).Value, “”)
dbRate = Nz(rs.Fields(“StandardRate”).Value, 0)
dbMaxUnits = Nz(rs.Fields(“MaxUnits”).Value, 1#)

If dbCode <> “” Then
Set projResource = FindResourceByCode(dbCode)

If Not projResource Is Nothing Then
‘ 【既存リソースの更新】
‘ 変更がある場合のみプロパティを書き換え、無駄な再計算イベントを発火させない
If projResource.Name <> dbName Then projResource.Name = dbName
If projResource.StandardRate <> dbRate Then projResource.StandardRate = dbRate
If projResource.MaxUnits <> dbMaxUnits Then projResource.MaxUnits = dbMaxUnits

updateCount = updateCount + 1
Else
‘ 【新規リソースの追加】
Set projResource = ActiveProject.Resources.Add(dbName)
projResource.Text1 = dbCode ‘ 外部キーをText1に焼き付ける
projResource.StandardRate = dbRate
projResource.MaxUnits = dbMaxUnits

insertCount = insertCount + 1
End If
End If

rs.MoveNext
Loop

‘ 5. クリーンアップと通知
App.ScreenUpdating True

MsgBox “リソースマスタの同期が完了しました。” & vbCrLf & _
“新規追加: ” & insertCount & ” 件” & vbCrLf & _
“更新処理: ” & updateCount & ” 件” & vbCrLf & _
“処理時間: ” & Format(Timer – startTime, “0.00”) & ” 秒”, _
vbInformation, “同期成功”

CleanUp:
‘ オブジェクトの明示的破棄(メモリリークの完全阻止)
On Error Resume Next
If Not rs Is Nothing Then
If rs.State Then rs.Close
Set rs = Nothing
End If
If Not conn Is Nothing Then
If conn.State Then conn.Close
Set conn = Nothing
End If
App.ScreenUpdating True
Exit Sub

ErrorHandler:
App.ScreenUpdating True
MsgBox “予期せぬエラーが発生しました: ” & Err.Description, vbCritical, “致命的エラー”
Resume CleanUp
End Sub

‘——————————————————————————–
‘ 補助関数: Text1(外部コード)をキーにしてProjectのリソースを線形探索する
‘ ※実運用でリソースが数千件規模になる場合は、Dictionaryオブジェクト等へのキャッシュを推奨
‘——————————————————————————–
Private Function FindResourceByCode(ByVal targetCode As String) As Resource
Dim r As Resource
For Each r In ActiveProject.Resources
If Not r Is Nothing Then
‘ Text1にSQL Server側のプライマリコードを格納している前提
If r.Text1 = targetCode Then
Set FindResourceByCode = r
Exit Function
End If
End If
Next r
Set FindResourceByCode = Nothing
End Function

‘——————————————————————————–
‘ 補助関数: Null値の安全なハンドリング
‘——————————————————————————–
Private Function Nz(ByVal val As Variant, ByVal defaultValue As Variant) As Variant
If IsNull(val) Then
Nz = defaultValue
Else
Nz = val
End If
End Function

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4. チーフアーキテクトが教える実装上の急所

上記のコードには、現場で泥水をすすってきた者にしか分からない「生存のための知見」が組み込まれている。

① `App.ScreenUpdating False` の絶対的優位

Microsoft Projectは、リソースやタスクが追加・変更されるたびに、スケジュールエンジンとガントチャートの再描画を裏で走らせる。数ドレッド(数十件)のリソースならまだしも、大規模プロジェクトでこれをやると数分単位のフリーズを引き起こす。
処理の冒頭で画面更新を切り、最後に復元させることで、処理速度を最大10倍以上跳ね上げることが可能だ。

② 無駄なプロパティ代入の抑制

If projResource.Name <> dbName Then projResource.Name = dbName

SQLから取得した値を無条件に代入するのではなく、「今の値と違う場合のみ代入する」というガードを入れている。Project VBAにおいて、プロパティの書き込みはコストが高い。差分更新に徹することで、プロジェクトファイルのダーティフラグ(変更フラグ)の無駄な換気を防ぐ。

③ COMオブジェクトの確実な解放パターン

`On Error GoTo ErrorHandler` と `CleanUp` ラベルの組み合わせにより、途中でデータベース接続エラーやタイムアウトが発生しても、必ず `ADODB.Connection` や `Recordset` がメモリからパージされる構造にしている。これを怠ると、VBAエディタが突然落ちる「VBEクラッシュ病」の温床となる。

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5. おわりに:ツールを「文化」にするために

このスクリプトを単体でローカルに置いておくだけでは、属人化の悪夢から抜け出せない。
実際には、このプロシージャをアドイン(`.ppa` または `.xlam` ではなく、Project用の `.mpp` グローバルテンプレート、あるいはリボンカスタマイズから呼び出す形)に組み込み、プロジェクトマネージャーがワンクリックで「最新の組織単価とリソース状況」を吸い上げられるフローを構築してこそ、真の業務自動化といえる。

手動による泥臭いデータ管理の時代は終わらせよう。
コードに意志を宿し、プロジェクトの数字を常に「真実」の状態へ同期させ続けよ。

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